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ファースト電子開発株式会社(北区)

業種 : 機械(その他の機械)
作成日: 平成30年3月28日
更新日: 平成30年3月29日
代表取締役・伊藤義雄氏
宇宙、南極、公共交通機関に活かされる高い技術
「あったらいいな」をカタチにする開発型メーカー
「私たちは50年前の創業当時から開発型メーカーとして仕事をしています。日本では製作型メーカー95%に対して、開発型メーカーは5%。お客様の"こんなものがあったらいいな”というリクエストを、図面に描き起こし、かたちにしてきました」と語るのは代表取締役伊藤義雄氏。人工衛星通信装置から電車の無線式発車ベル、高速道路のFMラジオ再放送装置など、身近な生活のなかにもファースト電子開発の技術が活かされています。高い技術力の裏にあるものづくりへの思いを伺いました。

ヒット商品開発ののち多品種少量生産へと方向転換

タグ・ホイヤー社と開発したタイム計測器
 伊藤氏がそれまでエンジニアとして勤めていた大手企業を退社し、会社を立ち上げたのは1967年のこと。当時盛んだった労働組合活動に嫌気がさし、とことんものづくりに打ち込める環境を求めての起業でした。下請けになるつもりはなく、開発型メーカーを目指すことは最初から決めていたそうです。「アマチュア無線が趣味だったこともあって、周辺機器であるオーディオコンプレッサを発売したところ月500台売れる大ヒットとなりました。ところがそれに目をつけた別会社が類似品を出してきた。我々中小企業は裁判費用なんか出せません。そこで量で勝負するやり方はダメだと。月100台売れる程度で、とにかく性能がよく、その価値をきちんと評価してくれるところに売っていこうと方向転換したんです」。
 同じ時期、スイスのスキー連盟がそれまで1/100秒単位だったタイム計測器を1/1000秒単位に、かつデータを山の上へ下へと無線で飛ばせる製品を公募。伊藤氏はタグ・ホイヤー社と手を組んで開発に乗り出し、選出されました。その成功も路線変更の決意を後押ししたそうです。

一人のエンジニアが全行程を見るからよりよいものになる

JR多治見駅のホームに設置されている無線発車ベル装置
 その後、手がけた製品は多岐にわたります。無線を得意としていたこともあり、人工衛星「かがやき」の無線通信システム、高速道路トンネルのなかでもラジオを聴けるFMラジオ再放送装置。JR無線発車ベル装置は車掌が無線ボタンを押すと発車ベルが鳴り、行き先表示器が繰り上がるシステムなどを開発。ユニークなところでは自衛隊4000人がパレードをする際、各所に置くスピーカーの音に合わせると歩調にずれが生じることから、隊員が背中につけられるFMラジオ型号令等共有装置を考案し、採用されています。
「5名の従業員がひとつの製品すべての行程を担当します。分業するとみんなが100%の力を出す。全部が100%の力を合わせるとキチキチの遊びがない状態でどこか不具合が出るんです。一人がすべてを見渡すことで、ここは120%、ここは30%と配分できる。時間が節約できるばかりでなく、完成度も高くなります」。

あらゆるオーダーに応えるためにはクライアントの3倍学ぶ

 現在注目しているのは、林業や農業。広大な自然を相手に、危険な作業もともなう仕事に、自社の技術が役立つ場面があるのではないかと、大学との産学連携のなか開発を進めています。
 相談に訪れる企業・団体は多種多様。その相談の内容もさまざまです。
「お話をするとき、会話のレベルが合わなかったら、ただの町工場の親父だな思われるでしょう。お客様と同じレベルかそれ以上の知識がなければ対等のパートナーにはなれません。僕はクライアントの3倍勉強します。IoT、気象、計測——。最先端の要求にも応じるために勉強は欠かせません」。
 創業から50年以上。オーダーに応えるために乗り越えてきた壁の数が技術力を磨いてくれたと伊藤氏。「明るく楽しく、経験を活かせ、ニーズを形に 諦めない その先に 成功がある」。社内に掲げられた社是には伊藤氏のものづくりへの思いが込められています。
ファースト電子開発株式会社
住所:北区上十条4-15-5
http://www.first-ele.co.jp/
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