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株式会社ナイトレイ(渋谷区)

業種 : 情報
作成日: 平成29年4月12日
更新日: 平成29年4月17日
株式会社ナイトレイ 石川豊代表取締役社長
 継続する円安傾向、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催、ビザ発給条件の緩和など複数の理由から、ここ数年で訪日外国人の数が増加しています。国土交通省の発表によると2016年1月から12月末までの1年間では、日本を訪れた外国人旅行者の数が累計で約2403万9千人に達しており、5年連続の増加となりました。政府は訪日外国人の目標人数・国内消費額を2020年に4千万人・8兆円、2030年に6千万人・15兆円に掲げています。
 インバウンド関連のビジネスチャンスが急激に拡大するなか、大きな注目を集めているのが、2011年1月に創業したITベンチャー、株式会社ナイトレイが開発したウェブサービス「inbound insight(インバウンドインサイト)」です。同社の石川豊社長にお話をうかがいました。

膨大なロケーションデータを解析して訪日外国人の動向を可視化

インバウンドインサイトのサービス画面。中国人旅行者の動向が可視化されている。
 インバウンドインサイトとは、訪日外国人のSNSの投稿内容から、国籍や周遊したルートなどを解析し、彼らの行動パターンや嗜好性を可視化するウェブサービスです。対象となるSNSはオープンプラットフォームかつ規約上も投稿データへのアクセスが可能なTwitterと微博(Weibo)。2011年の創業後、日本語のSNS投稿の内容と位置情報を解析するビジネスを開始し、それを通じて培った「発信された場所や施設名を割り出す独自技術」がインバウンドインサイトの基盤となっています。このサービスの着想はどこから得たのでしょうか。
 「スマートフォンが広く普及し始めた2010年前後から、多くの人々が出かけた先での情報を発信し始めました。その膨大なロケーションデータを収集し、解析できれば、企業にとって有益なマーケティング情報や、人々の生活をさらに快適にするサービスの提供に結び付けられると考えました。その後、訪日外国人観光客の急増に伴い、彼らの動向を解析できないかという要望が増えたことが、インバウンドインサイト開発の背景になりました」

具体的なエビデンスに基づいて的確なインバウンド対策を立案できる

統計データプランの画面。昼間と夜間に分けて、訪れた外国人の国籍ランキングや分布動向を県単位と市区町村単位で閲覧できる。
 現在、インバウンドインサイトは複数のプランを提供しています。
 まずは先にも紹介した訪日外国人のSNS投稿データに基づく「SNS解析プラン」です。月間で約2万2千人が周遊したルートや訪れた施設の人気ランキング、年間推移データを提供し、主要15か国に対応します。
 次は「統計データプラン」です。ドコモ・インサイトマーケティングとの協業で、訪日外国人の滞在者数を都道府県別に年間推移データを提供するもので、50か国以上に対応しています。
 3番目は「訪日消費データプラン」で、経済産業省が提供する宿泊実績データに基づいて、訪日外国人の推定消費額を市区町村単位という細かい粒度で提供するもの。市区町村単位で消費の内訳や富裕層がどれだけ含まれているかも示します。
 「駅データプラン」は「駅すぱあと」を開発したヴァル研究所と協業し、訪日外国人の人気駅ランキングを提供するサービスで、6か国に対応しています。
 ほかにも、株式会社三菱総合研究所との協業で、2030年までの全国・都道府県毎の国籍別来訪者数を提供する「将来予測データプラン」や優先的にインバウンド対策が必要な施設が解析できる「優先施設診断プラン」など、顧客の目的に応じたプランが用意されています。
 「従来、企業や広告代理店、メーカー、自治体などがインバウンド対策を立てようにも、具体的なデータがなく、あいまいな戦略しか構築できない、コストや時間を無駄遣いしてしまうのが実情でした。
 しかし、インバウンドインサイトの多様なサービスを利用することで、より戦略的な対策を立てることが可能になります。つまり、どの国の観光客に対して、いつ、どこで、どんな商材を提供すれば成果が出るのかを、裏付けとなるエビデンスに基づいて立案できるのです。その結果、失敗が減少してマーケティング投資を最大限に活用していただけるようになり、多くの顧客から高く評価していただいています。
 今後はデータ提供に加えてソリューションを提案できる営業体制やサービス開発の根幹となるエンジニア陣の増強、さらに顧客開拓に連動するインバウンドインサイトの無料プランの登録社数増加などを目標にしています。無料プラン登録社数は2016年末現在で約4200社ですが、今後は年2~3千社単位で増やしていきたいと考えています」

組織強化、顧客層拡大を目指すIT企業にとって東京は理想的な場所

既に多くのメディアに掲載された実績がある。それを見た他メディアが取材を申し込み、さらに知名度が上昇する好循環が起きている。
 最後に東京で起業したことのメリットを聞きました。
 「当社の場合、2つの強みがあると思います。まずは組織を強くしていくうえで有利なこと。先にお話したとおり、営業、エンジニアの採用を進める方針ですが、特にIT業界となるとやはり優秀な人材は東京に集中しているからです。もうひとつは多くの顧客との距離の近さです。ほとんどが30分~1時間以内で行き来できる場所にあり、スピード感をもって仕事を進めることができます。特に渋谷駅から徒歩圏であることは大きなアドバンテージだと思います」
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックはもちろん、その後の時代に向けても政府の成長戦略上、インバウンド市場が重視されるのは間違いないでしょう。その潮流に比例して、ナイトレイのインバウンドインサイトの存在感もより一層大きくなるはずです。
株式会社ナイトレイ(Nightley Inc.)
東京都渋谷区南平台町15-11 南平台野坂ビル 4F
http://nightley.jp/
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