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株式会社CSS技術開発(多摩市)

業種 : 情報
作成日: 平成29年2月21日
更新日: 平成29年4月17日
株式会社CSS技術開発
大山竜吾 代表取締役社長
 ある地点と地点の間の位置関係を決定して地上に表示する、あるいは地表の形状や面積、体積を測定する——「測量」は都市のインフラを整備する上で不可欠な仕事です。河川敷や道路の脇などで特殊な機械を据え付けた三脚を立て、測量が行われているシーンは誰もが見たことがあるでしょう。
 かつて測量の計算は関数表を用いて手計算で行われており、現場のスケールによっては数人がかりで丸一日取り組まなければならないほど手間の掛かる作業でした。この状況に対して各時代の最新機器と独自の技術、合理的な分業体制などを導入することで、スマートな測量のビジネスモデルを構築してきたのが株式会社CSS技術開発です。大山竜吾社長に取材しました。


最新技術、機器の活用で測量の質、スピードを向上

平成28年度には高城雄三顧問が開発した特許技術で、転がすだけで道路の凸凹が高精度に測れる小型測量装置「コロコロ測量」が文部科学大臣表彰の科学技術賞を受賞した
 CSS技術開発は、大山社長の先代で、初代社長の高城雄三氏(現:顧問)によって1985年に創業されました。
 「高城は前職を活かして造園測量業として当社を起業しました。当時、測量の座標計算はすべて手計算が一般的だったのですが、高城は1980年代に広く使われたSHARP製の『ポケットコンピュータ』を利用すると、計算の時間が大幅に短縮できることに気がつきました。さらに独自のプログラム「おまかせ君」を開発した結果、これまで数時間かかっていた計算を数秒にまで縮めることに成功したのです。これが当社の最初のブレイクスルーになりました」
 創業から約10年後には、やはりSHARP製で1990年代~2000年代に使われたPDA(携帯情報端末)『ザウルス』を活用した測量端末「おまかせ君プロ」の開発に成功します。これが同社2度目の飛躍のきっかけになりました。
 「ザウルスを活用した測量技術を生み出したことで、操作性を格段に向上できました。タッチパネル式で直感的に操作できるので、以前より、経験の少ない作業者でもまるでプロのように質の高い測量が可能になったのです」
 ちなみにこの技術は現在、従来は2人必要だった測量を1人でも可能にした「おまかせ君ワンマン」に継承されています。以降もCSS技術開発は、3DスキャナやCAD、GPSなど各々の時代に登場してきた機器に独自の技術を反映し続けました。そのなかで創造した新たな付加価値を武器に、測量の市場を開拓していったのです。

 電話営業を基本とするほか、測量の業務を「測量準備」「現場での測量」「CADデータ作成」「測量成果簿出力・納品」の4工程に分業化。案件別のファイリング、データの整理など徹底した合理化を進め、時短と利益率アップにつなげている。

"会社存続の危機"をバネにして新規市場の開拓に成功

 大山社長によると、本来、建設の世界は長年培ってきた自分の腕を頼みとする職人気質が強く、新しい技術の導入には慎重な姿勢の人が多いとのこと。そんななかでCSS技術開発が積極的に新技術に注目してきたのは、こんな理由があったそうです。
 「ひとつにはシンプルに高城がそうした創造が好きだったこともありますが、それ以上に必要に迫られた部分がありました。創業11年目のある日、当時の主力社員全員が労働環境に不満をもって突然退社し、近隣で測量会社を立ち上げたのです。一気に会社が存続の危機に陥りました。そこで『経験値の少ない作業者でも高品質で均一な成果を生み出せる測量機器を開発し、それを活用していく』『ソフトと最先端の機械を活用して合理的に仕事を進め、時短を図り、労働環境を改善して社員が幸福を感じられる会社にする』。高城はこの2点を重視した経営方針をより鮮明にしていきました。そして当社はさらなる技術向上に励み、次々に画期的な機器を開発していきました。それが奏功して、かつての事業の中心だった造園から土木、堤防などの新規市場を開拓することにも成功したのです」

CSS技術開発が高い技術力を駆使して測量を手掛けた現場は創業から10,000以上を数える。写真(左)はそのうちのひとつ、圏央道・高尾山IC。国土交通省は1998年からインターネット上で有用な新技術の情報を提供する「NETIS(New Technology Information System)『公共工事等における新技術活用システム』」を運営しており、ここに登録された技術を国土交通省直轄の公共事業等で使用すると、工事成績評定での加点対象となる。CSSの独自技術はNETISに多数登録されており、その技術水準の高さが分かる。

測量を根本から変える画期的な測量装置「MMS」が日本の土木の未来を照らす

3Dスキャナのほか、全方向カメラ、光センサー、GNSS(人工衛星から送信される電波を利用する測位方式)を備えたMMSを装着した車が走行しながら(上)、データ(下)を取得する。
 数あるCSS技術開発の測量技術、サービスのなかでも近年、特に注目されているのが「MMS(モバイルマッピングシステム)」です。
 「これはスイスの世界的測量機器メーカー、ライカジオシステムズ社が開発した『ライカ ペガサス2』をべースに当社独自の技術を付加してさらに精度を上げた全方位型の計測機器です。ライカ社の製品は測量誤差が最大約30mmありましたが、当社で独自に補正ソフトを開発したことで誤差1~3mm程度にまで精度を向上しました。これを車の屋根に装着して走ると1秒当たり100万点を5cmピッチで高速測量してくれるため、測量時間が劇的に短縮され、大規模な道路の通行規制も不要になったのです」
 しかも同社が導入したMMSは着脱式なので、ブルドーザーやボートに装着して農地、宅地などの造成工事や護岸工事、トンネル、地下鉄工事、一般道、高速道路の工事、ゴルフ場や公園、グラウンドの造成など多様な用途に使うことも可能です。さらなる市場の開拓につながっていると大山社長は胸を張ります。
 「現在、日本の土木業界には約340万人の技能労働者がいますが、10年後にはこれが約240万人に減少するといわれています。つまり、仕事があってもそれに対応する技術者が決定的に減少し、今以上に人手が不足することが不安視されているのです。MMSのような技術はそうしたマンパワー不足を補完する有益な存在になると自負しています」
 ちなみに国土交通省も産業界におけるマンパワーの減少を深刻に受け止めており、その対策として「i-Construction」という施策を推進しています。これはICT(情報通信技術)を建設現場に導入して生産性や仕事自体の魅力を向上させることを目指した取り組みです。CSS技術開発の志向は国の方向性にも即した有望なものであることが分かります。

女性、若手社員の積極登用、従業員の満足度向上も重視

 最後に多摩市という立地の魅力、メリットなどをお聞きしました。
 「約30年前の創業時は、ここが多摩ニュータウンのそばで宅地や公園などの造成工事が多く、測量のニーズも多かったという恩恵がありました。その後、多摩ニュータウンとその近郊に暮らす女性を積極的に雇用し、戦力にできたことも当社に大きなメリットをもたらしました」
 ちなみに同社の女性従業員比率は73名中22名。業界では屈指の高い割合です。子育てが一段落した年代から、子育てと仕事を両立させている若い従業員まで幅広い顔ぶれがそろっています。
 「また、中央高速に加えて圏央道が開通したことで、関東一円での案件が多い当社にとっては移動の利便性にも恵まれていると感じます。業務上、多くの車を保有する必要があるため、駐車場代が都心に比べれば割安であることも魅力ですね。社員には多摩市に在住した場合、"近隣居住手当"として月額2万円を支給しています。この制度の後押しもあってほとんどの社員が多摩市に在住しており、通勤に長い時間をとられることもなく、快適な職住近接生活を実現しています。5年前から新卒採用も始めました。現在、当社の平均年齢は30代後半であり、業界では異例の若さです」
 長年にわたる新技術の導入や、若い技術者、女性の積極的な登用——測量業界の常識を変え続けるCSS技術開発の挑戦はこれからも続いていくでしょう。

整然としたオフィス環境もCSS技術開発の特徴だ。当初はパート従業員として入社した後、社員に登用される女性も多い。その際、非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、これらの取り組みを実施した事業主を助成する厚生労働省の「キャリアアップ助成金」を複数回利用したという。

株式会社CSS技術開発
東京都多摩市乞田1251 サークビル3F
TEL:042-373-2100 FAX:042-373-1800
http://www.css24.jp
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