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株式会社Xenoma(ゼノマ)(大田区)

業種 : 加工(その他)
作成日: 平成29年2月21日
更新日: 平成29年5月15日
株式会社Xenoma
富取祐香取締役 経営企画部長
 あらゆるモノがインターネットでつながり、新しい価値を創造する「IoT(Internet of Things」の発展が、暮らしやビジネスに少しずつ変化を与え始めています。接続される端末のバリエーションも増えており、自動車や照明器具、電力を制御するスマートメーターなどが、近い将来一般的になると言われています。
そんななか、近年注目されているIoTのデバイス(機器、装置)が「身に付けられる」ことを意味する「ウェアラブル」です。メガネや腕時計、リストバンド型などを中心に普及が進んでいますが、装着感が強く長時間身に付けにくい、測定位置が限定的で取得できるデータが制限される、といった課題がありました。
ここで紹介するのは、そうした問題を大幅に解消する、株式会社Xenomaの着られるIoTシャツ「e-skin」です。同社の富取祐香部長にお話をうかがいました。

特殊な装着と防水加工の技術で快適な着心地を実現

【e-skin】センサーが這うデザインが近未来的。現在はシャツのみだが、今年中には下半身版もリリースしたいという。伸縮性があり、長時間でも着続けられるのが特徴。現在、フル充電で約4時間連続稼働できる。
 Xenomaは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のプロジェクトのひとつ、ERATO「染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト」(研究総括:染谷隆夫 東京大学大学院工学系研究科教授)で開発された「伸びるエレクトロニクス」を実用化し、社会に貢献することを目的に、2015年11月に設立されたベンチャー企業です。
 「伸びるエレクトロニクスというのは文字どおり伸縮性のあるセンサーであり、これをシャツに14本装着したのが『e-skin』です。ウェアラブル端末のメガネやリストバンドは測定位置が限定されることに加えて、ひとつひとつにバッテリーを付けなければならないのも欠点です。身体のさまざまな場所を同時にセンシングしつつ、何とか充電する場所をひとつにまとめられないか──これをスマートなカタチで実現したのがe-skinです。通信機器のブルートゥース、マイクロコンピュータの入ったコンパクトなハブを胸に装着しており、そこから直接データをPCやスマホに送ることができます」
 e-skinはハブを取り外せば、洗濯機で普通に洗濯できる点も特筆されていますが、着心地の良さもe-skinの優位性だと富取さんは話します。
 「シャツに装着しているセンサーは裏地に突起などが出てこないので、肌にストレスをかけません。他社製品でもセンサーを装着し、洗濯が可能なシャツはあるのですが、防水加工を施すことでその箇所がどうしても伸びづらくなり、ゴワゴワして快適に着られなくなる場合もあります。しかしe-skinは配線が伸び、なおかつ完全な防水加工がなされているため、快適な着心地を維持することができます」

ゲーム、スポーツ、お年寄りの見守りや医療など多様な分野に応用できる

Xenomaリーフレットには、乳幼児用のe-skinなども紹介されている。海外展開を主眼に置いているため、Xenomaは公式HPを含むすべての公的資料を原則的に英語版にしている
 では、e-skinはどのような用途に適しているのでしょうか。
 「身体を動かすアクションゲームへの応用や、ボディの動きをチェックするフィットネス分野、ランニング、野球、テニスなどスポーツ中の動作の改善、姿勢矯正などのヘルスケア分野、さらにはお年寄りや乳幼児に着てもらい、身体の動きをモニタリングして転倒などの異変を察知する、といった多様な分野への展開が考えられます。さらに、温度センサーを装着して体温の変化を検知する、心電を測定する、血中酸素濃度を測るといった高度な医療分野への応用や、バイブレーション機能を加えることで、例えば右腕が振動したら右に進むなどナビゲーションとして使うことも考えられます」
 マップなどのナビ機能はスマホにも搭載されていますが、スマホは常に画面を見ていなければならず行動が制限される、他者に衝突する、転倒するなどリスクもあります。いわゆる「歩きスマホ」の危険性は多くの人が知るところでしょう。しかし、着衣であるe-skinなら画面を見る必要はなく、動作の自由度は非常に高いというわけです。

将来は多様な付加価値を備えた「ヒトと機械のインターフェイス(接触面、境界面)」に

 現在、e-skinは見た目のインパクトを出す狙いもあり、見本市や展示会などでは、黒地にシルバーのセンサーが這う近未来的なデザインを展開しています。
 「実はバリエーションは豊富に用意することが可能です。例えば、もっとアンダーウェアの感覚を強調するために白地にする、タイトな感覚に抵抗のある方向けに少しルーズにして軽い着心地にする、乳幼児用に淡いピンクと白いセンサーにするといったパターンもあります。いずれは、ファストファッションの店舗の棚にe-skinも普通に並び、皆さまに普段着感覚で買っていただきたいですね。現在、一人がスマホ一台を持つのは当たり前の世の中ですが、e-skinもそのレベルで普及させたい。そして、ゆくゆくはe-skinが多様な付加価値を備えて『ヒトと機械のインターフェイス(接触面、境界面)』になることを目指しています」

2017年1月にアメリカ・ラスベガスで開催された国際的な家電見本市「CES(Consumer Electro nics Show )2017」に出展。Xenomaは(公財)東京都中小企業振興公社が運営する東京都知的財産総合センターの「外国商標出願費用助成事業」や、(公財)大田区産業振興協会の「海外見本市出展助成金」の支援も受けている。

モノづくり企業が結集し、協働しやすい大田区は理想的な環境

Xenomaが入居する「テクノFRONT森ヶ崎」303
 東京都内に立地していることのメリットはどのように感じているのでしょうか。
 「弊社は、以前に縁あってご紹介いただいた大田区の産業施設『テクノFRONT森ヶ崎』に入居しています。使用できる電力の量やスペースの広さ、家賃の割安さなどさまざまな面で満足していますが、加えて、ここには弊社のようなモノづくり企業も多くテナントとして入っており、時には自分たちだけでできない分野の作業を外注することもあります。また、テクノFRONT森ヶ崎だけでなく、大田区内の熟練技術をもった工場に協力を依頼し、快く手を貸してもらうこともあります。e-skinは、アパレル、エレクトロニクス、デザイン、機械加工といったさまざまな分野のモノづくり技術が結実した製品なので、多様なモノづくり企業がそろっている大田区の環境は本当に理想的なのです。都内に起業してモノづくりを志すなら、大田区はお薦めできる場所ですね。刺激を受け、新しいモノを創造するワクワク感を得られると思います」
 大田区では、区内の企業同士のマッチングを行うなど企業同士の協働をバックアップする体制が整っており、Xenomaはその仕組みを利用して外注できる企業を探し、協働にこぎつけたこともあるとのことでした。
 e-skinは、この2月1日に販売を開始しました。現在はアメリカを中心とした海外市場を主要ターゲットにしていますが、いずれ日本に"逆輸入"され、私たちにとって身近な製品になる日も遠くないかもしれません。

Xenomaが入居する大田区の公的産業施設「テクノFRONT森ヶ崎」の内部。この施設は「大田区大森南四丁目工場アパート」とも呼ばれており、中小規模の工場も入居する。通路はフォークリフトも行き来できる余裕あるレイアウトだ。



株式会社Xenoma(ゼノマ)
東京都大田区大森南四丁目6番15号 テクノFRONT森ヶ崎303
https://xenoma.com/
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