産業立地ナビTOKYO

武州工業株式会社(青梅市)

業種 : 加工(金属)
作成日: 平成28年3月4日
更新日: 平成29年4月18日
武州工業株式会社 林英夫代表取締役
武州工業株式会社(青梅市)
 武州工業株式会社は、自動車用パイプ曲げ加工を得意とするパイプ加工メーカー。2008年からは、自動車分野で培った量産技術を活かして医療機器(内視鏡下手術用使い捨て処置具)の開発にも進出し、現在では、自動車50%、医療機器45%、航空宇宙・その他5%というバランスのよい売上構成を実現しています。財務体質にも優れ、「優良申告法人」の認定をこれまでに7度も受けているほか、2012年には、「勇気ある経営大賞優秀賞」を受賞しています。その成長企業を率いる林英夫社長に話をうかがいました。

海外生産しなくても勝てる仕組みを独自で構築

「地域で仕事をする」が経営理念。1998年より毎日、社屋前の道路の清掃活動を行なっている
 武州工業株式会社で何よりも特徴的なのは、「地域で仕事をする」という経営理念のもとに、地元密着型で雇用を継続していることです。それを可能としているのは、日本でLCC(ローコストカントリー)価格を実現する、すなわち、海外生産しなくても勝てる仕組みをつくりあげているからです。LCCとは自動車メーカーなどが部品を発注する際、世界で最も安価(Low Cost)で、かつ高い精度で生産できる国(Country)の生産工場を選択して発注する方式のことです。
 「自動車部品は、グローバルプライス・ワンプライスと言って、日本でつくっても海外でつくっても値段が同じなんです。そうであれば、人件費の安い海外勢が有利と考えがちですが、当社はその人件費の差を自社で培ってきた独自の生産技術で埋めています。登録品種12,000種の中から、月に900種、90万本のパイプを製造していますが、価格競争力だけでなく加工精度、納期にも万全の対応をしています」
 この言葉のバックボーンとなっているのは、「日本のものづくりに学ぶ」という武州工業のものづくり理念で、「道具を作る=自社による設備開発」「人に任せる=多能工を育成してすべて任せる」「人を信頼する=一個流し生産」という3つの指針です。

生産の全工程を一人の多能工が担う一個流し生産

 前述の「一個流し生産」とは、生産計画から品質保証までの全工程を一人の多能工によって完結させるという生産方式。1985年に導入して以来、今日まで改善を重ね、大きな進化を遂げています。
 「工程内品質保証という考えに基づいた生産方式です。例えば屋台のラーメン屋さんは、注文を受けてから出来あがりを提供するまでのすべてを一人の職人さんが受け持ちますから、作っている途中で虫が入るなど不慮の事態が発生しても、すぐに発見して対応することができます。一個流し生産もこれと同じで、一人の多能工が材料調達から一連の加工、品質管理、出荷管理までのすべてに関わりますから、万一不良品が出ても、その場で検出することができるわけです」
 一個流し生産は、歩留まりを最大限に上げることができ、低価格での製品供給を可能とさせました。それが、国内生産のみで、しかも賃金を下げることなく成長してきた大きな要因なのです。
 「多能工の育成は、入社してすぐにアルミのろう付という一番難しい技術を習得してもらうことから始めます。これがこなせるようになれば、他の技術の修得が楽になるためです」
 情報化にもいち早く取り組み、タブレット端末を活用したWeb生産管理システムを構築し、作業の効率化と平準化を実現しています。それら先進的な取り組みにより、2015年には、経済産業省が実施する「攻めのIT経営中小企業百選」に選ばれています。
一個流し生産を進化させるため生産設備も独自に開発
ものづくり企業だが文系・理系の垣根はなく女性の社員が多いのも同社の特徴

東京ビジネスデザインアワードから生まれたpipegram

 一方で、武州工業は、自社ブランドのコンシューマー製品を持つBtoC企業としての顔も持っています。それが、知育玩具「pipegram(パイプグラム)」です。この玩具は、2012年、同社が東京都が主催する「東京ビジネスデザインアワード」で最優秀賞を受賞したことから生まれた商品です。
 東京ビジネスデザインアワードとは、高い技術力を有する企業とデザイナーとをマッチングさせることで、新たなビジネスの創出を目指す事業提案コンペティションのこと。この際に武州工業が出したのは、「世界最高レベルのパイプ曲げ加工技術を生かして、手先の器用な人間を小さいうちから育てたい」というテーマで、これに対し、多数のデザイナーから10件以上のデザイン提案が寄せられました。その中から選ばれたのが、pipegramの提案だったのです。
 「デザイナーとのコラボレーションで新商品を開発しようとしても、自社単独では、デザイナーを選ぶところから躓いてしまいます。しかし、東京ビジネスデザインアワードでは、有能なデザイナーが多数の提案を出してくれたにも関わらず、当社の費用はまったくかかっていません。こういった中小企業への活性化支援が多くあるのが東京都の魅力ですね」
 東京ビジネスデザインアワードをきっかけにBtoCデビューを果たした武州工業。Pipegramを起点とした挑戦は、これからも続きます。
pipegramは「パイプで表現する」という思いを込めたネーミング。2014年10月に販売開始(http://www.pipegram.com/)
武州工業株式会社
東京都青梅市末広町1-2-3
TEL 0428-31-0167
http://www.busyu.co.jp/
青梅市の関連情報