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シンエイ動画株式会社(西東京市)

業種 : その他
作成日: 平成28年2月26日
更新日: 平成28年4月12日
シンエイ動画株式会社 山田俊秀取締役制作本部長
シンエイ動画株式会社(西東京市)
 「アニメ」は日本が世界に誇る高品質コンテンツのひとつと言っていいでしょう。ここでご紹介するのは、日本の代表的なアニメーション企画・制作会社のひとつであるシンエイ動画株式会社です。同社の歴史や制作現場のいま、未来などを山田俊秀制作本部長にうかがいました。

社名には「アニメ界の“新鋭”であり続けたい」という意味が

 シンエイ動画の前身は、後の創立者である故・楠部大吉郎氏が設立したアニメ制作会社、有限会社Aプロダクションです。当時手がけていたのは、東京ムービー(現・トムスエンタテインメント)制作の『オバケのQ太郎』『巨人の星』『ルパン三世』『ど根性ガエル』『天才バカボン』など、現代でも根強い人気を誇る名作ばかりでした。ちなみにメンバーの中には高畑勲氏、宮崎駿氏など、後に日本アニメ界をリードすることになるアニメーターも在籍していたそうです。
 「シンエイ動画が設立されたのは1976年です。自社で企画・制作ができる体制を整えるため、Aプロダクションを改組・発展させる形で田無市(現・西東京市)内に立ち上げました。社名には“新生Aプロ”あるいは“新しいAプロダクション”に加えて、常にアニメ界の“新鋭”でありたいという意味も込められています」

社内には社員、フリー、他の制作会社などからのアニメーターが数十名以上おり、作業に集中している

一度打ち切られた『ドラえもん』をヒットさせた功績

シンエイ動画本社屋のエントランス。同社を代表する作品であるドラえもん、クレヨンしんちゃんの最新作情報が出迎える
 シンエイ動画がアニメ業界での地位を固めた最大の要因は、日本はもちろん、世界各国に多くのファンを持つ名作『ドラえもん』を手がけたことにあります。
 「実はドラえもんは1973年に一度日本テレビさんでアニメ化、放映されたことがありましたが視聴率不振で半年で打ち切られていました。しかし、ドラえもんの作品としての素晴らしさと大きな可能性を感じていた楠部が藤子先生にアニメ化の許諾を依頼して、再びアニメ化を実現したのです」
 ただし、一度失敗していた作品だっただけに、当初テレビ局はいずれもアニメ番組化に難色を示しました。そこで楠部氏は自費でパイロット版を制作することを決意します。資金不足の問題はありながらも多くの優れたスタッフ、さらには20数年間にわたって関わることとなった大山のぶ代氏、小原乃梨子氏らをはじめとした声優陣も参画しました。
 完成したパイロット版の出来は言うまでもなく素晴らしいもので、原作者の藤子先生はもちろん、多くのアニメ番組関係者からも高い評価を得ました。1979年にテレビ朝日で放映が開始され、現在に至っています。
 「加えて当社を代表する作品としては、1981年~1987年に放映された『忍者ハットリくん』、1992年にテレビアニメの放映が開始された『クレヨンしんちゃん』や『あたしンち』、などジャンルとしては幅広い年齢層をターゲットにした「ファミリーアニメ」が中心となっています。ただ、アニメーターのなかには、時にはロボットものやSF系なども描いてみたいと考える人もいます。そのため、当社で仕事をしているアニメーターはほとんどが協力会社、あるいはフリーランスの方となっており、制作スケジュールや作品のボリュームによって人が動くことが一般的です。こうした仕事の進め方は当社に限らず、業界全体に見られます」

アニメ以外の芸術に触れられる環境は東京ならでは

田無駅から徒歩5分程の場所にあるシンエイ動画本社。外壁はドラえもんのカラダを模した特注の青色タイルで覆われている。同社の今日の地位を築く原動力となったドラえもんへのリスペクトを表している
 シンエイ動画が田無市(現・西東京市)に設立されたのは、日本のアニメ界の歴史が大きく関係しています。日本で最初に作られた劇場用長編アニメは1958年に公開された『白蛇伝』でした。この作品を制作したのは練馬区の東映動画(現・東映アニメーション)であり、ここを起点に日本のアニメーション業界は裾野を広げていったのです。したがって現在も練馬区や新宿区、中野区、そしてシンエイ動画がある東京の西部にアニメ制作会社が集まっているというわけです。
 「アニメ制作の会社が近い場所に集まっているというのは、常に厳しいスケジュールの中で制作を進めている我々にとって好ましい環境といえます。何か問題があった場合にすぐ対処できますし、業界内の交流もしやすいですからね」
 また、アニメーションの企画、制作というクリエイティブな業種だけに、東京で仕事ができることの恩恵も大きいと山田制作本部長は話します。
 「アニメーターはアニメだけを見ていればいいわけではありません。国内外のさまざまな美術、演劇や舞踊、映画、さらに歌舞伎などの日本の古典芸能に至るまで、多ジャンルの芸術に接することで潜在的な刺激をもらうことができ、それをアニメの原画や動画の制作、ペイントなどに活かすことができるからです。その点でアニメーションをつくる人間が東京にいることの意味は非常に大きいといえます。当社はドラえもん、クレヨンしんちゃんといった強力なコンテンツを持っており、おかげさまでテレビ、劇場用映画と多くの方にご覧いただいてきましたが、その風向きがいつ変わらないとも限りません。常に緊張感を持って仕事に臨む必要がある点でも、ライバル企業が多く、さまざまな刺激を受けることができる東京は理想的な環境だと思います」
シンエイ動画株式会社
東京都西東京市田無町3-9-21
042-464-0312
http://www.shin-ei-animation.jp/
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