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バンプレコーダー株式会社(北区)

業種 : その他
作成日: 平成28年2月16日
更新日: 平成29年4月18日
バンプレコーダー株式会社 八木浩一代表取締役社長
 道路の維持管理には、通常、舗装路面性状計測車という専用車両を用いた、路面のひび割れやわだち、平坦性などを測定が必要です。ただし、現在行われている方法ではコストがかさむため、幹線道路しか計測できない、頻繁に計測ができないといった課題があります。  ローコストで、早く、手軽に舗装路面を計測したい——そんなニーズに応えたのが、バンプレコーダー株式会社が開発したスマートフォンアプリ「バンプレコーダー」です。八木浩一社長にお話をうかがいました。

第2の故郷・新潟を襲った大地震が起業の出発点に

 「開発のきっかけになったのは2004年10月に発生した新潟県中越地震でした。私は学生時代を長岡で過ごしており、新潟はいわば第2の故郷。ボランティアに参加しようと当時住んでいた名古屋を出発しましたが、道路が寸断されていて現地に辿り着ける道路がどれなのか、その情報がなかった。この時、災害発生時には道路、交通情報の不足が問題となることに気が付きました。これがバンプレコーダーの着想の原点です。
 そして、2007年に発生した新潟県中越沖地震では、道路の凹凸の計測用に改造した歩数計とGPSを積んだ車を運転して現地へ向かいました。車がどこでどの程度揺れるかを計測することで道路の被害状況を把握できると考えたのです」
 この調査で八木氏は、震源地に近い場所ほど大きな凹凸が生じており、具体的にどの程度の段差があったのかなど細かな調査結果を得ることができました。この技術を世に広めたいと考えましたが、しかし特殊な歩数計は汎用性が低く、普及は見込めません。
 「そんな時にスマートフォンという画期的なデバイスが登場しました。そこで、段差計測のアプリを開発し、スマートフォンにダウンロードしていただければ普及の壁は一気に越えられると考えたのです」

会社のスローガン『フレンドリー&クオリティー』を凝縮した製品

スマートフォンにダウンロードされた「バンプレコーダー」。道路の凹凸を検知すると画面のような波形が現れる
 その後、2011年2月にニュージーランドのクライストチャーチで発生した大地震を契機にAndroid用スマートフォンアプリ「バンプレコーダー」を一般公開しました。直後の3月に起きた東日本大震災では、バンプレコーダーを積んだ車で被災地を走って計測したそうです。その距離は地震後の約2ヵ月間でおよそ4,600kmに達しました。
 「この頃から国土交通省や建設コンサルタント、道路工事会社などから、『平常時の道路維持管理にバンプレコーダーを使うことはできないか』との問い合わせをいただくようになりました。ただ、実はその当時私はトヨタ自動車に勤めており、バンプレコーダーの開発はボランティアで行なっていました。しかし、各方面からのご要望も大きくなり、考えた末、2013年10月に共同経営者の2名が起業し、私は退職後12月から参画しました」
ちなみに同社の創業日は10月23日です。「10・23」はバンプレコーダー誕生の背景となった新潟県中越地震の発生日と同じで、常に初心を忘れないようにとの気持ちを込めてこの日にしたとのことです。
 バンプレコーダーの優位性は、アプリをダウンロードしたスマートフォンを車載ホルダーなどで固定して車を走らせるだけで段差を計測できる手軽さにあります。しかも、使った車のサスペンションの硬さを自動的に推定してタイヤの上下動を算出できるため、車種やスピードが違っても安定した精度で計測できる点も大きな特徴です。
 「リーズナブルな料金もアピールできるポイントです。必要なのはアプリだけで特殊な計測車両はもちろん不要。従来の路面性状計測は距離に応じた従量課金が一般的でしたが、当社ではスマートフォン・携帯の料金プランによくある“かけ放題”ならぬ“測り放題”な定額プランを用意しています。私たちのスローガンである『フレンドリー&クオリティー』は、手軽さ、リーズナブルな料金、高い計測制度など、バンプレコーダーの特徴を凝縮したものであると自負しています」

機能が拡張するクラウドサービスも提供

 また、バンプレコーダー株式会社では「BumpRecorder web」というクラウドサービスも開発、提供しています。特徴は、バンプレコーダーで計測したデータをおよそ10分後にweb上に表示できることです。従来は結果が出るまで数日かかっていただけに、飛躍的に早く確認できるようになりました。
 「さらに、計測期間や進行方向などを指定する、エリア別に距離標、時系列など目的に応じたグラフにするなど顧客のニーズに応じた使い方も可能です」
 現在、同社の顧客は国交省や関連団体、自治体や民間企業で、主に今後の道路維持管理計画の立案に役立てる目的でバンプレコーダー採用の検討が進んでいるとのこと。これと並行して、アメリカ、ヨーロッパ、韓国、インドネシアなど海外への展開も増やしているそうです。
「BumpRecorder Web」の画面。色によって段差の程度を分け分かりやすく表示
バンプレコーダーを車載した例

北区インキュベーション施設『ネスト赤羽』入居の恩恵も

2015年11月には東京都ベンチャー技術大賞 特別賞を受賞した
 最後に東京都、北区に立地することのメリットを聞きました。
 「当社オフィスが入っているのは北区のインキュベーション施設『ネスト赤羽』であり、まず、この恩恵が大きいです。賃料は安く、セキュリティに優れ、会議室もある。会社経営のアドバイスや情報をいただける相談員さんも常駐されています」
 また、足回りの良さも魅力とのこと。ネスト赤羽から徒歩7分のJR赤羽駅からは上野・東京方面と池袋・新宿・渋谷方面の山手線の東西どちらにもアクセスできます。また、徒歩3分の赤羽岩淵駅からは南北線で都心部にもアクセスすることができます。
 「最近、特にIT業界を中心に、『まだ東京で疲弊しているの?』と言った語り口がみられますが、それは場所ではなくその人の働き方だと思います。人口や企業密度が高い東京には、実に多くの情報や選択肢があります。自分たちがアンテナを高く張り、有益な情報をいち早くつかみ、適切に利用できれば、ビジネスチャンスをつかめる確率は、やはり東京が高いと思います」
バンプレコーダー株式会社
東京都北区赤羽1−59−9 ネスト赤羽207
TEL 03-6454-4255
http://www.bumprecorder.com/
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