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株式会社フォトシンス(品川区)

業種 : その他
作成日: 平成28年2月16日
更新日: 平成29年4月18日
株式会社フォトシンス 河瀬航大代表取締役社長
 2014年9月に創業したばかりながら、IoT(インターネット・オブ・シングス)のフィールドで大きな注目を集めているのが、株式会社フォトシンスです。トピックは同社が開発した、スマートフォン(※1)が鍵の代わりになる世界初の工事不要・後付け型スマートロックロボット「Akerun(アケルン)」です。河瀬航大社長にこのプロダクトの可能性についてうかがいました。

 ※1 2015年7月より出荷開始されている「Akerun Remote」は3G通信に対応しているため、これを使えばPC、タブレットなどでも利用できる

さまざまなシーンで利用できるプロダクト

ドア内側のサムターンを覆うようにAkerunを取り付けた様子
 Akerunの導入方法はいたってシンプルです。まずスマートフォンに専用アプリをインストールし、Webサイト上のサポート画面かアプリ上で実際にAkerunが取り付け可能なドアか否かを診断(約80%のドアが可能)します。購入し、製品が届いたらドア内側のサムターン(※2)を覆うように貼り付けるだけです。これでオリジナルのカギの代わりにスマートフォンでドアの開閉ができるようになるのです。製品は付ける・はがすを繰り返すことができる特殊なテープで貼付するので、賃貸住宅でも使うことができます。
 ただ、これだけ聞くとカギがスマートフォンに移行しただけなのですが、Akerunが画期的なのはカギの開閉履歴を残し、スマートフォン上で管理できることです。また、スマートフォン上の設定で家族や友人、オフィスワーカーなどのスマートフォンに同様の機能を持たせることも可能です。言うまでもなくオリジナルの鍵で合鍵をつくる必要はありません。
 「したがって、例えば不動産空き物件の管理や入居希望者単独での内覧対応、無人の空きスペースやシェアオフィスの活用、子ども、高齢者の帰宅の確認、オフィス、店舗などで従業員がカギ兼タイムカード代わりにするなど、さまざまなシーンで利用することができます」

※2 錠の開け閉めを行うツマミ。これが回ることでデッドボルト(かんぬき部分)がドア枠の受座にかかって施錠される

2015年9月には「2015年グッドデザイン賞」を受賞

グッドデザイン賞の表彰状と共に
 「Akerunの着想は、フォトシンス創業メンバーとの飲み会での雑談から生まれました。“カギって落とすリスクがあるし、他の人との受け渡しも面倒。違和感があるよね”といった話が出たのをきっかけに、スマートフォンを使ってカギの代わりになるデバイスのプロトタイプをつくり始めたのです。するとその試みが2014年の7月に日経新聞で取り上げられ、問い合わせが殺到。プロダクトの可能性に手ごたえを感じて2014年9月、私を含めて6名で創業しました」
 Akerunは2015年3月に販売が開始されました。カギをオンライン上で運用し、シェアするという新しい価値観を提供したこと、製品の優れたデザイン性などから、9月には「2015年グッドデザイン賞」を受賞しています。製品も進化し、11月にはアプリを起動せずかざすだけで開閉できる「Akerun Touch」の提供を開始しました。
 「さらに12月にはスマートフォンをかざさず、カバンやポケットなどに入れたままでもマンションのエントランスやオフィスの自動ドアが開閉されるAkerun Entranceを発表しました。販売対象となるのはマンション管理業者や企業、店舗の施設管理者などで市場規模は約240億円を想定。3年間で6,000ドアに導入することを目標にしています」

東京には“会うべき人”がたくさんいる

「Akerunは日々アップデート中。海外市場にも挑戦します」と力を込める河瀬航大代表取締役社長
 フォトシンスは現在15名で、平均年齢は29歳です。河瀬社長を筆頭に高いテクノロジーと向上心にあふれた若きエンジニアたちが、日々、上司部下の関係なく自由闊達に意見を戦わせ、モノづくりに邁進しているそうです。
 「私たちがここまで事業を拡張するには、フォトシンスのメンバーもさることながら、優れた技術を持ったたくさんの町工場のエンジニアや職人の皆さん、豊富なノウハウを持つ大手メーカーOB、起業家、投資家などのアドバイス、協働も不可欠でした。東京にはこうした“私たちが会うべき人”がたくさんいらっしゃることを実感しています。さらに、フォトシンスの起業を資金援助してくださった複数の企業など、理解してくださる方にも恵まれました。こうした点から、Akerunは東京という場所だったからこそ生まれたプロダクトだったと思います。
 もっとも、恵まれている半面、常に厳しい競争にさらされることも事実でしょう。でも、そこで戦い、実績を残せば大きく成長できますし、成功した企業やクリエーター同士のシナジーも生まれ、さらに飛躍できるチャンスが広がります」
 ちなみにフォトシンスは、複数企業からの資金提供を受け、それまで支援を受けていた経済産業省所轄のNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のスタートアップイノベーター(SUI)プログラムから卒業した最初の企業でもあります。
 SUIプログラムとは、安倍政権が打ち出した成長戦略の下、10年後のグローバルメガベンチャーの育成を目的に、国の支援を受けて2014年4月に経済産業省とNEDOが立ち上げたもの。420社の応募の中から14社が選定されました。それだけ選考基準は厳しく、フォトシンスの将来性が高いことを意味しています。
 「『つながるモノづくりで、成功体験を未来に組みこむ』をスローガンに、今後もAkerunを含めたIoTの領域で優れたモノをつくり続け、世界にもどんどん挑戦していくつもりです」
株式会社フォトシンス
東京都品川区大崎5丁目1−11 住友生命五反田ビル 3F
TEL 03-5436-3433
http://photosynth.co.jp/
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