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カドミ光学工業株式会社(日野市)

業種 : 加工(その他)
作成日: 平成28年2月15日
更新日: 平成29年4月18日
カドミ光学工業株式会社 竹内広之代表取締役社長(左)と、森脇大樹取締役(右)
カドミ光学工業株式会社(日野市)
 世界の光学産業をリードする日本。そのなかでも、医療機器、分析機器などの精密機器に組み込む光学ガラス部品の製造メーカーとして、卓越した技術と実績を持つカドミ光学工業は独自の存在感を放っています。これまで産業機器を中心にものづくりを進めてきましたが、2015年からは新たな分野にも領域を広げています。取り組みの内容を竹内広之社長、森脇大樹取締役(デザイン プロジェクトリーダー)にうかがいました。

ガラスの接合に接着剤を使わない「オプティカルコンタクト」が強味のひとつ

カドミ光学工業が手がける高精度のプロダクトの数々
 カドミ光学工業は、加藤倫朗会長が1997年7月に日野市で創業し、光学ガラス部品の製造、販売を手掛けてきました。2014年7月に竹内社長へ引き継いで現在に至ります。
 「代表的な製品は、光学セル、フライアイレンズ、偏光素子、平面基板等です。まず光学セルは主に医療機器・分析機器メーカー、大学・研究所などで、生物、医学、薬学分野の検査などに使われています。次いでフライアイレンズは、同じ単レンズを縦横に配列した特殊レンズのことで、主に半導体露光装置に採用されています」(竹内氏)
 カドミ光学工業の高い評価を支えているのは、同社ならではの技術です。
 「例えばガラスの表面をμm(マイクロメートル。100万分の1m)単位で調整して研磨し、気泡や埃、塵などが入り込まないようにガラス同士を接合します。ただし、接着剤は使いません。ガラスの材質となる合成石英は、精密に研磨することによりガラス分子同士が引き合う性質をもっており、熱を加えると接着剤を使わなくても接合できるのです。この技術を生かした製品を様々な形でユーザーへ提供しています。さらに、特殊な穴あけ技術であるマシニング加工においても穴径、寸法公差、チッピングなど高い精度を実現しており、お客様から高い評価をいただいております」(竹内氏)

「東京ビジネスデザインアワード」最優秀賞受賞をきっかけに産業機器以外の分野へ進出

「祈具シリーズ」。左が形見箱、右が祈具セット(形見箱+分光枠+台座)(写真撮影:三浦秀彦)
 そんなカドミ光学工業の業務領域に、2015年、新たなジャンルが加わりました。それが第3回となる「2014年度東京ビジネスデザインアワード」の最優秀賞を受賞した「祈具シリーズ」です。
 「東京ビジネスデザインアワードとは、都内のものづくり企業とデザイナーが協働することを目的とした企業参加型のデザイン・事業提案コンペティションです。そこでクラウドデザイン様から提案された“精神的な暮らしを提案するプロダクト”に事業化の可能性を感じ、2015年2月から協働を始めました」(竹内氏)
 そして完成したのが「FROM NOWHERE~彼方から」というブランド名を冠した「祈具シリーズ」です。これは遺灰や形見を収めるケース「形見箱」と、人が想いを投影するための空のフレーム「分光枠」の2つがあり、いずれも光学ガラスならではの高品質の素材と光学的な効果が活かされた独自のプロダクトです。工芸品、美術品のようなものと言っていいでしょう。
 「当社にとっては初めての産業機器以外の製品であり、BtoBからBtoCの領域へ進出する製品となりました。祈具シリーズの受賞を機にJETRO(日本貿易振興機構)の支援によって『メゾン・エ・オブジェ・パリ2016年1月展』にも出展することができ、社員の士気も上がっています」(森脇氏)

豊富な人材から優秀な人を厳選できるのは東京ならではの特典

 最後に、東京に立地していることのメリットをお聞きしました。
 「まず公的支援が手厚く、しかもその内容がユニークで、事業に結びつきやすいことが挙げられます。先の東京ビジネスデザインアワードは当社にとってその典型的な恩恵だったと思います。また、展示会やセミナーなどが多数開催されるために新たな知識や刺激を得る機会が豊富ですし、都内立地だけに移動距離、時間が短く参加しやすいことも挙げられます。現地で人的交流を広げることもできますしね。また、ここ日野市の場合は、東京でありながら自然もバランス良く共存しているので気分転換もでき、ものづくりには適していると思います。さらに、鉄道などの公共交通だけでなく、圏央道の開通で南北の車移動が快適になったことも魅力的です」(竹内氏)
 加えて竹内社長が強調するのは人材が優秀で、しかも豊富だということです。
 「やはりものづくりの環境が充実している東京で働きたいと考える人は多いため、たくさんの優秀な人材が当社にも集まってくれました。企業を承継する人材が優秀であればものづくりの可能性が広がり、企業の繁栄、存続に繋がっていくものと思います」(竹内氏)
 高評価を獲得している産業機器分野に加えて、暮らしに密着するプロダクトづくりにも領域を広げるカドミ光学工業。2016年は同社にとって飛躍の年となりそうです。
32名の社員のうち、ものづくりの現場に25名が投入されている。平均年齢は30代半ばと若い。ひとつのセクションだけでなく、マルチに仕事ができる多能工の育成を目指しているとのこと
カドミ光学工業株式会社
東京都日野市万願寺2-25-7
TEL 042-587-7707
http://www.kadomikk.com/
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