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株式会社エーアイ(文京区)

業種 : 加工(その他)
作成日: 平成28年2月15日
更新日: 平成29年4月18日
株式会社エーアイ 吉田大介代表取締役社長
 駅の構内やバスの車内放送、自動販売機、カーナビ、ゲーム、スマホの音声アプリ、電話の自動応答音声……私たちはロボットが人の声を発する音声に囲まれて暮らしています。この音声合成のシステム開発で高い技術力を擁し、可能性を広げているのが株式会社エーアイです。吉田大介社長に話をうかがいました。

タカラジェンヌの音声合成が技術を広める第一歩に

清潔感が漂うエーアイ本社入口。自社製品開発が主業務のため他社都合にそれほど左右されることがなく、ゆとりをもって開発に取り組める環境とのこと
 吉田社長が音声合成技術の可能性の広さを実感したのは1999年頃のことだったそうです。株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR【京都府】)に勤務していた時でした。同研究所は、産・学・官が連携し、情報通信関連分野の先駆的な研究を推進する国際的な研究開発拠点です。
 「打ち込んだテキストを音声に変えられる、いろいろな人の声を合成して音声にできる、といった実現可能性を知り、これはおもしろい、ぜひ世の中に広めたい!と思いました。第一歩になったのが、阪急電鉄がHPをリニューアルすると聞いた時にプレゼンした天気予報の音声合成です。技術的には、例えばタカラジェンヌの声を合成してHPの天気予報を流すこともできますと提案したところ、それはおもしろいと快諾をいただき、実現しました。当時のHPにはまだ動画はなく、静止画やテキスト情報が主流。そんな時代に宝塚の女優さんが天気予報をするということで話題を呼び、高い評価をいただいたのです」
 この成功を契機に吉田社長は関西から東京へ進出。曲折を経てATRから独立し、2003年、株式会社エーアイを起業しました。以来同社は音声合成に特化した日本唯一の企業として年々存在感を増しています。

「コーパスベース音声合成方式」で従来の機械的音声とは一線を画す品質に

AITalkシリーズは導入実績500社以上を数えるヒット商品
 エーアイを代表するプロダクトが2006年に誕生した「AITalk」シリーズです。特徴は人間の声を元にして合成する技術「コーパスベース音声合成方式」の採用で、従来の機械的な自動音声とはかけ離れた、人間らしく自然な音声をつくり出せること。この技術はエーアイのHPに載っているデモ機能で体験できます。その自然な声に驚く人は少なくないでしょう。
 仕組みは次のようになっています。日本語の母音と子音を多数含む特殊な原稿(センテンスの一例:『あらゆる現実をすべて自分の方へねじまげたのだ』)を読んでもらい、収録した音声から音声辞書を作成します。次に入力されたテキストを解析し、強弱や抑揚を予測して音声辞書から最適な音声を選択します。最終的に信号処理で補正して、音声波形として接続されたものが音声となって出力されます。

「マツコロイド」「Pepper」…様々なロボットの声に採用

会社入口にはこれまでの表彰履歴がズラリと並ぶ
 最近のプロダクトでは人気タレント、マツコ・デラックスさんのロボット「マツコロイド」の声にAITalkが使われていることが話題になりました。実際にマツコ・デラックスさんに原稿を読み上げてもらい、収録した声から生成した音声が採用されています。ほかにもソフトバンクのロボットPepperの声や、NTTドコモのスマホアプリ、フジテレビのニュース読み上げ音声などのメディア、駅、空港などの館内放送、eラーニング教材など実に幅広い分野に普及しています。現在、外国語も含めると話者は40名以上、言語の種類は15以上とラインナップも豊富です。
 「音声合成技術を有する企業は当社だけではありませんが、AITalkは極めてローコストで、最安値の料金では40万円程度から対応できる。しかも人間に原稿を読み上げてもらう時間は短く済むため、本人の負担も軽くなります。他社の場合ですとコスト的にはおそらく一桁は高くなり、時間もさらに長くなるはず。こうした強味がエーアイの優位性を確立しています」
 吉田社長の話は、エーアイが受けてきた数々の社会的評価も裏付けています。最近では、Japan Venture Awards2014、中小企業庁長官賞、日本音響学会技術開発賞、京都市ベンチャー企業目利き委員会によるAランク認定、起業家表彰制度「EOY 2014 Japan」ファイナリスト、東京都ベンチャー技術大賞受賞、さらに東京都トライアル発注認定制度の認定商品に選出されるなど、数々の栄誉に輝きました。

独自の音声合成技術で21世紀の文化を拓いていきたい

AITalkシリーズに加えて、エーアイが開発した独自キャラクターの音声を選べる「VOICEROID」シリーズも
「東京に立地するメリットは少なくありませんが、なかでも開発企業とエンドユーザーが集約している点が大きいですね。何より、新しいことに挑戦しようと考える企業が多く、モノづくりのスピリットに溢れている環境であることは大変ありがたいと感じています。
 また、東京信用保証協会さんの制度融資を利用した時にスピード感を持って早急に対応していただけたのは非常に助かりました」
 恵まれた環境の中、音声合成技術を使ってできることは、まだまだ広がると吉田社長は力を込めます。
「例えば、お子さんが小さいうちに録音した声を合成し、成長記録としてアーカイブをつくる、遠隔地に暮らす祖父母に向けて送ったメールが、音声合成した孫の声で読み上げられる仕組み。AITalkを核にして21世紀の文化を拓いていく——そんなことができればと考えています」
株式会社エーアイ
東京都文京区西片1-15-15
TEL 03-6801-8461
http://www.ai-j.jp/company/
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