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株式会社CICS(江東区)

業種 : 環境・医療・福祉
作成日: 平成26年4月22日
更新日: 平成27年3月6日
株式会社CICS(江東区)
株式会社CICS(英文社名 Cancer Intelligence Care Systems, Inc.)は、がんに対する放射線治療技術を研究開発・製造・販売している企業です。最先端の放射線医療技術を駆使してがん治療の新たなステージを目指す同社を訪ね、今堀良夫社長(写真)にお話を伺いました。

究極のがん治療「BNCT」に貢献する世界的オンリーワン技術

当社は2005年12月に港区虎ノ門で設立し、業務拡大に伴い2007年9月に現所在地である有明に移転しました。設立当時から難治性のがん治療の切り札と目されている「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)」の研究・開発を行っています。「BNCT」に欠かせない中性子の産生については、原子炉の利用や加速器でのベリリウムターゲット方式等がありますが、それらは高エネルギー陽子線を照射し高速中性子を発生させるため、全身被曝の問題や、装置の大型化、放射化等の問題がありました。そこで当社は、リチウムターゲット方式という低エネルギー陽子線で効率よく中性子を生み出せる技術を研究・開発し製品化しました。この製品により、全身被曝が少なく、中性子を発生させる加速器(写真)も小型化でき、放射性廃棄物の量も圧倒的に少ないため、病院等での効率的な「BNCT」の運用が可能となりました。2014年現在、このリチウムターゲット方式を実用化できているのは当社のみで、世界的オンリーワン技術となっています。

難治性がん治療の切り札「BNCT」の実現へ

一般的ながんに対する放射線治療は、エックス線などの放射線を利用し、がん細胞内の遺伝子にダメージを与え破壊する方法です。この治療は、放射線ががん細胞へ届くまでに周囲の正常細胞を傷つけてしまうため、脳やその周辺にできた腫瘍の治療が困難なことや、放射線は体に負担が大きいため、転移した複数のがんを治療することが難しいといったデメリットがありました。しかし「BNCT」は、今までの放射線治療とは全く違う概念で行う新しい治療法です。簡単に言うと、がん細胞のみに取り込まれるホウ素薬剤を投与し、その取り込まれたホウ素に外側から低エネルギーの中性子を照射することで、細胞内で約10ミクロンしか飛ばない粒子線(または二次粒子線)を発生させ、がん細胞のみを死滅させることができます。そのため「BNCT」は、正常細胞をほとんど傷つけること無く、がん細胞と正常細胞が混在した悪性の脳腫瘍など難治性のがんを今までよりも安全に治療することが可能となりました。また、用いられる中性子は正常な細胞にほとんど影響のないまま無害化することができるため、患者様の身体的負担も今までより軽減されます。

当社開発の治療装置が国立がん研究センターへ

このように「BNCT」はメリットが多い治療法なのですが、1994年から現在に至るまで「BNCT」を利用した患者様は400名ほどにすぎません。これは「BNCT」に不可欠な中性子を発生させるために原子炉等を必要とするため、実施可能な施設が限定されていたのが原因です。当社はこの問題を解決するため、前述したリチウムターゲット方式を使用して中性子を発生させる研究を続け、近年ようやくその実用化にこぎつけました。この装置は、2013年12月より独立行政法人国立がん研究センターへの導入(写真)が進んでおり、2014年夏以降に実稼働する予定です。この治療法が確立すれば、いずれは全国の様々な医療施設に普及し、日本のがん治療が革新的に進歩するのではないかと期待されています。

経営者が医学博士であるという強み

我々のような歴史の浅い会社がこの業界で高い信頼性を勝ち得ている理由としては、オンリーワンの高い技術力に加え、代表である私が医学博士(元京都府立医科大学助教授)であり、会社の経営だけでなく、技術の研究も自らが行っているからだと思います。そのため、商談では「BNCT」という最先端の医療技術を的確に伝えることができますし、開発においても他のメンバーとともに「BNCT」の研究を行うことができます。また、当社の技術開発員は、全員がかつて「BNCT」を研究していた者で構成されていますので、同じ志を持った研究員がひとつになることで、専門性の高い技術が磨かれ、いままでにない治療法を実用化できることが当社の強みだと考えています。

ベンチャー企業には欠かせないネットワークがある東京

会社設立時、それまで研究を行っていた京都を離れ東京に立地を考えたのは、東京には我々のようなベンチャー企業が立ち上がるのに欠かせない要素が全て揃っていると思ったからです。医療系の研究には、他の業界よりも大きなお金が必要となります。このような資金調達の面でも、東京では多岐にわたる出資元を探すことが可能です。また、多くの優秀な人材が集まっているため人的なネットワークを作ることが地方に比べて容易だと感じています。さらに我々のように世の中にまだ出回っていない製品を一から作り上げる開発の場合、試作品を作るときなど技術をサポートしてくれる協力会社が必要となる場合も多いのですが、東京にはさまざまな高い技術を持った企業が多く立地しているため、より最適な協力会社を選択することが可能です。当社が「BNCT」実用化の段階までやってこられたのは、さまざまなネットワークがある東京に立地していたからこそであると考えています。これからも「BNCT」技術をさらに高め、日本では3人に1人ががんに罹り治療を行っているという現状に対して患者様に負担のかからない治療法を普及できるようたゆまぬ企業努力を続けていく覚悟です。
URL: http://www.cics.jp/
住所:東京都江東区有明三丁目5番7号 TOC有明イーストタワー5階
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