産業立地ナビTOKYO

佐瀬工業所(台東区)

業種 : その他
作成日: 平成27年3月13日
更新日: 平成28年3月29日
佐瀬工業所
佐瀬 勇さん
 ものづくりの街・台東区。江戸、明治からの歴史を誇る優れた伝統工芸も数多く、受け継がれています。それを支えているのは、職人達のこだわりの技術。佐瀬工業所のガラスペンもその一つです。

日本が生んだ筆記用具“ガラスペン”、そのルーツは、百年以上も前に遡る

ペン先と軸が一体となった美しいガラスペン
 上野と浅草、台東区を代表する二大観光地のちょうど中間に位置する入谷。ここに、ガラスペンを作る佐瀬勇氏の工業所がある。
 ガラスペンは1902(明治35年)に、風鈴職人の佐々木定次郎氏によって開発された筆記用具。先代の佐瀬米蔵氏が、この佐々木定次郎のもとで修業した後、ここ入谷に「カネモ印」の家号にて独立。そして、佐瀬勇氏は、1955年から(昭和30年)、カラスペン職人として修業を始めた。
 「ガラスペンは、ペン先の側面に溝があり、インクを吸いあげます。インクの持ちが非常に良く、一度付けるとハガキ1枚は書くことができます。」
 これは、毛細管現象(細い空間を液体が浸透していく現象)を利用したもので、溝の数は最初2本、さらに試行錯誤の末、8本の溝となった。
 「発明された当初は、ペン先だけがガラスで、軸は竹などを使っていました。今のように軸とペン先が一体型のガラスペンができたのは、1989年(平成元年)のことです。」
 こう語る佐瀬勇氏が、実は、この一体型ガラスペンの生みの親である。

完全な手作りで、一本一本、模様をつけて仕上げる

バーナーでガラスを熱し、ねじり模様を作る
 1989年(平成元年)、ペン先に使用していた8本の溝の入った棒を使用してバーナーであぶり、独特のねじり模様をつけた最初の一体型ガラスペンが開発された。
 材料となるのは、8本の溝があるガラス棒で、ガラス工場で特別に調合したもの。
 「この8本の溝があるガラス棒を均等に左右にひねり、模様を作ります。1本1本、丁寧に全て手作業で作成します。だから、全部、模様が違うのです。」
 この一体型成型よって、筆記用具としての優れた性能に、さらに、気品ある美しさが加わった。優雅な工芸品と昇華したガラスペンは、様々な雑誌やテレビでも紹介され、また、世界的なファッションブランドのペンとしても採用された。
 デジタル化の時代だからこそ、こうした筆記用具の良さが見直される。佐瀬工業所のガラスペンは、工芸品ともうたわれ、贈答用に選ばれる方も多い。ホームページでも、その美しいラインナップを紹介している。

ものづくりの街、台東区で、伝統の技を受け継いでゆく

義理の息子さんと、一本一本、ガラスペンを作成
 佐瀬氏は、ガラスペン製作技術により、1998年(平成10年)台東区優秀技能者、1999年(平成11年)台東区指定生活文化財(H11)に認定された。そして、2012年(平成24年)には、東京マイスター(東京都優秀技能者)にも選ばれた。
 ものづくりの街、台東区では、江戸時代からの歴史を持つ様々な伝統工芸が、今なお、受け継がれている。浅草にある「江戸下町伝統工芸館」では、約45業種350点もの工芸品が展示されている。佐瀬氏は、ここでの催しにも参加されている。
 「ガラスペンは、他ではマネのできない、ここでしか作れない貴重な工芸品です。この技術を未来へ残していきたいです。」
佐瀬工業所
http://www.glasspen.jp/
〒108-0072
東京都台東区入谷2-29-8
台東区の関連情報
城東エリアの関連情報