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有限会社さいとう工房(墨田区)

業種 : 環境・医療・福祉
作成日: 平成27年4月1日
更新日: 平成28年3月29日
有限会社 さいとう工房
代表取締役社長 齋藤省さん

障がい者の自立を手助けするために

工房の様子
 東京の下町、墨田区には、数多くのものづくり企業が集積するが、その業種は様々。東京スカイツリーのすぐ近く、本所にある、さいとう工房では、車椅子、電動車椅子を製造する。一般的な車椅子とは異なり、“障がい者の方々が、自立するため”の様々な工夫がされているのが特徴だ。
 障がい者の自立の手助けをして、喜んでもらえる仕事をしたい、という強い思いから、齋藤氏は1994年(平成6年)、「さいとう工房」を立ちあげ、オーダーメイドの車椅子づくりを始めた。
 一人ひとりの希望や障がいの状態などに応じ、これまで作り上げた車椅子は約1500台に及ぶ。その経験の中で、障がい者の方々が抱える様々な困惑や車椅子に求める要望をつぶさに知り、すべての要望に応える多機能型電動車椅子、「レル・シリーズ」の開発に至った。

多機能型電動車いす『レル・シリーズ』

多機能型電動車椅子、レル・ライト
 「狭い部屋で使いたい」「トイレに一人で移りたい」「台所で、自分で料理を作りたい」「高い棚に手が届くようにしたい」「皆と同じテーブルで食事がとりたい」「体を休めたい」それらの願いが「移レル」「作レル」「取レル」床までシートを下げて、一人で「乗レル」そして「屋外の段差も気にしないで「走レル」等々、利用者の様々な要望が叶えら「レル」よう、さいとう工房が生み出したものは、まだ日本で普及していない6輪型を採用した電動車椅子です。リクライニングやティルトだけでなく、座角変換という新しい機能を開発し、前傾姿勢で食事や洗面が行え、フットプレートの上に立つことが出来るようになった。またモジュール方式の採用により座席のサイズ等、様々な選択ができる。
 「利用者の障がいの状態により、生活様式も異なり、もちろん体形も様々なのですが、従来の車椅子は固定のサイズでした。また、多機能型は主に輸入品のため、日本人の体形には大きすぎ、重すぎ、日本の住宅事情にも合わず、さらに高額だったのです。」(齋藤氏)
 こうした問題点を解決しようと、試作を続け、独自の6輪構造と、今までになかった機能の開発によって誕生した、多機能型車椅子、レル・シリーズ。基本のレル・ライト、昇降機能を取り付けたレル・リフトに、床降りタイプをラインナップ。障がい者の様々な自立への課題に道を開いた。

『レル・シリーズ』の特徴

多機能電動車椅子 レル・リフト
 レル・シリーズは、6輪構造を採用したことで、直径94cmでの小さな旋回が可能になり、室内での利用やエレベーターの乗り降りが非常に簡単になった。
 独自のキャスターの開発で、小型ながらサスペンションを持ち、段差をラクに越えられ、斜めからの突入にも上がれる機能を持つ。
 クッション性、リクライニング機能、ティルト機構、座角変換機構で、一日中乗車もでき、日常生活が楽になった。これにより、室内での就労の可能性が、大きく広がったのである。
 革新的な機能を搭載したこの電動車椅子は、2011年(平成23年)には、ロボットコンテスト「ROBOT JAPAN 2nd(主催:マゼル・ジャパン)」でMVP賞を受賞した。
 工房内には、ピンクやオレンジのフレームも並ぶ。色を選べるのも、今までの車椅子にはなかった点。レルは、個性も表現できる車椅子でもある。

墨田区のメリット

工房内のスタッフ
 14名のスタッフは、障がい者が自立する手助けをしたいという想いから、この工房に集まってきた。
 工房内には、工作室、縫製室、コントローラの電子制御回路を作る小部屋などが配置されている。3次元CADで設計し、溶接、組み立て等、主な工程はここで行うことができる。
 そして、レーザー加工、板金加工、塗装、ねじやワイヤーの調達等、墨田区内の業者で、縫製は隣の台東区の町工場でと、地元のネットワークが支えている。
 「すぐ近くに、ものづくり企業が集まっているのは、墨田区ならです。デザインやロボット技術の専門家も多く、ネットワークが広がりやすい。区の中小企業センターには、いろいろ相談にのっていただき、企業や大学も紹介していただきました。
 それに、ここは、成田にも羽田にも、電車1本で行けるので飛行機利用者や海外からの方にもたいへん便利な場所です。東京スカイツリーのすぐ近く、というのも、みなさんに説明する時、解りやすいですね。」(齋藤氏)

新たなコミュニティ・スペースがオープン

車椅子を介した新たな創造の場
レル・コミュニティ
 さいとう工房では、墨田区の「平成26年度新ものづくり創出拠点整備補助金」を利用し、多機能型電動車椅子「レル」を基に、高齢者・障がい者の就労(社会参加)をサポートする電動車椅子を創造する場、「レル・コミュニティ」を立ち上げ、間もなく完成を迎える。
 障がい者が、仕事をするための車椅子。例えば、美容師や医師、ウエイトレス他、その職業に合わせた仕様の開発を目指す。
 「2020年、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、海外からたくさんの方々が東京にやってきますね。そこで、障がい者の方々が、車椅子でイキイキと働く姿を、見せてあげたい。」
 そんな夢を語る齋藤氏の表情も、イキイキとして明るく、希望に溢れている。
有限会社さいとう工房
http://www.saitokobo.com/
〒130-0004
東京都墨田区本所4-27-3
電話番号03-3621-0508
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