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株式会社上島熱処理工業所(大田区)

業種 : 加工(金属)
作成日: 平成27年4月10日
更新日: 平成28年3月29日
株式会社 上島熱処理工業所
代表取締役 上島 秀美さん
 鋼に熱を加えることで、その性質自体を変える“熱処理”。上島熱処理工業所は、高度な技術や技能を要するこの熱処理を手掛けて50年以上。「難しい熱処理は上島へ頼め。」と各社より絶大なる信頼を集めています。

金属の性質を変えるための重要な加工「熱処理」

熱処理された部品
 熱処理とは、鋼(はがね)を加熱・冷却して、その性質を変える加工だが、用途に応じた硬さ、じん性、切削性などを持つ最適な鋼を作り出すという、目には見えないが、重要かつ難易度の高い工程である。例えば、硬さやじん性を重視する、塑性加工機械に搭載されている高速度工具鋼製金型。また、高い安全性が求められる航空機やロケットの部品等。熱処理は、その品質を左右する重要な工程である。その他、自動車、産業機械、建設機械など、熱処理は様々な産業分野に欠かせない。
 上島熱処理工業所は、1959年(昭和34年)、川崎市から大田区へ移転し、熱処理一筋50年以上。“難しい熱処理の駆け込み寺”と賞されるほど、高い評判を得ている。営業マンは置かずとも、顧客のクチコミにより、全国にその名が知れ渡り、現在は、週に1,000件にも至る注文をこなす。

「ソルトバス」と「真空炉」、2種の熱処理法

ソルトバスによる焼入れ
 同社では、 “ソルトバス”と “真空炉”、主に2つの方法で熱処理を行っている。
 “ソルトバス”による熱処理とは、塩化物(ソルト)を溶融した炉の中に製品を浸漬して加熱・冷却する処理で、極限の性能を求める製品に適する。一方 “真空炉”による熱処理は、真空を保った容器中で加熱・冷却する処理で、光輝な仕上りを求める製品に適している。
 「一般的な熱処理には、“焼入れ”と“焼戻し”という作業があります。焼入れで鋼を加熱した後、急冷し、焼戻しでは、焼入れ時よりも低い温度に再加熱して冷します。しかし、加熱・冷却の温度やスピードの細かな指定に忠実に作業を行なわないと、用途に応じた最適な製品を作ることはできません。」
 その他、製品のさらなる性能向上のための表面改質処理や、素材加工の摩擦圧接など、用途に応じた金属加工を、また、精密な温度管理による熱処理テストも得意とし、大企業や国の研究機関からも依頼がある。

熱処理のスペシャリスト集団

“名工”を筆頭とする熱処理のプロ集団
 上島熱処理は、10名の金属熱処理特級技能士を筆頭にしたプロ集団が、日々の業務を担っている。その中の4名は、厚生労働大臣賞を受賞した“現代の名工”であり、内5名は“東京マイスター”にも認定されている。
 彼らは、長年に渡り培った経験により、目視でチェックしながら金属製品のゆがみを矯正するなど、他社には真似できない技術・技能を有す。
 しかし、彼らの強みは、単なる「勘」だけではない。上島熱処理には、長年のノウハウが、データとして蓄積されている。 同社の高い品質は、あくまでも科学的根拠に基づいて実現されている。
 「この技能をどうやって次世代に繋ぐかが重要です。」と語る社長は、技能継承・人材育成にも余念がない。
 社員は技能士検定を受験は当然であり、また、ベテランと新人のマン・ツー・マン方式の人材育成を行なっている。
 「それが必ず、当社の技能の向上、継承へとつながっていきます。」

高品質の証。航空宇宙の分野へも展開

航空宇宙部品対応真空炉NQPC-60/60/100(S6)
 上島熱処理工業所は日本で最初に 鉄鋼の焼入焼戻し加工のJISマーク表示の認定を取得。熱処理専業メーカーとしては日本で最初にISO9001、ISO14001の認証も受けた。こうした徹底した品質管理への取り組みが、同社の評判を支えている。
 「お客様の熱処理工場として、お客様が自慢したくなるような性能と品質を提供したいと考えています。」
 現在ではJIS Q 9100(航空宇宙品質マネジメントシステム)とNadcap(航空部品の特殊工程国際認証)も取得し、航空宇宙部品の受注も可能となった。
 2010年(平成22年)には、航空機部品対応の新しい真空炉が導入された。常に難易度の高い金属熱処理に挑戦し続けてきた同社の技術は、高レベルな航空宇宙技術にも存分に活かされることになる。

ものづくりの街、大田区のメリット

工場外観
 上島熱処理工業所は、ものづくりの街、大田区の中でも、住宅と工場が同地域に混在する準工業地域にある。同区では、互いが理解し合える調和のとれたまちづくりを目指し、“人・町に優しく、技術・技能に優れた工場”を「優工場」としているが、同社は、2000年(平成12年)に、この優工場に指定された。
 「ここは交通の便が良く、また取引先への納品も、宅配便を使えば、東北~近畿なら翌日の午前中に届けることが可能です。良い仕事をするためには、納期も重要なのです。」
 そして、大田区の最大のメリットといえば、付加価値の高い企業が集積している点。工場同士のつながりも深く、近隣の加工業の方々からも「上島が近くにあると2日早く仕事ができる」と頼りにされている。
 同社は、大田区の強みや、ものづくりへの職人気質を活かしたネットワーク“大田ブランド”に登録。中小企業が集まって日本初の国産ボブスレーで世界に挑む“下町ボブスレーネットワークプロジェクト”にも参加している。
 「大田区のネットワークには助けられてきました。当社の技術で、何か地域に貢献できればと思っています。」
 上島熱処理工業所の大きな強みは、大田区という土地柄にも深く根ざしていた。そして、今日も一つ一つ、完成される製品が、大田区の、そして、日本全国のものづくり技術を支えている。
株式会社上島熱処理工業所
http://www.kamijima.co.jp
住所:東京都大田区仲池上2-23-13
電話番号:03-3753-7788
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