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株式会社 伊藤バインダリー(墨田区)

業種 : その他
作成日: 平成27年3月13日
更新日: 平成28年3月29日
株式会社 伊藤バインダリー
代表取締役 伊藤雅樹さん
 上質メモブロックとドローイングパッド。紙の加工の専門技術が生んだ自社製品は、2010年グッドデザイン賞を受賞。国内はもとより、海外の展示会でも注目されています。

自社製品の開発を目指して誕生した、上質メモブロック、ドローイングパッド

上質メモブロックとドローイングパッドの
ラインナップ
 「1938年(昭和13年)に祖父が製本業を創業しました。以来、墨田区で商業印刷物を中心に、製本、断裁、折などの加工を行ってきました。」
 株式会社伊藤バインダリーは、紙の加工を専門に行う事業所。先代の頃は、多忙を極めていたそうだが、デジタル化によって、商業印刷の需要が減るようになり、将来を見据えて差別化を模索した結果、自社製品の開発に取り組むことになった。
 「今ある機械を使って、何かできないものか。そう考えて、2008年(平成20年)から自社製品の企画会議をはじめました。しかし、私たちは、加工技術はあるものの、商品開発や販売のノウハウが無い。何度も会議を重ね、翌年にはデザイナーを加えて、数多くの試作を行いました。」
 このデザイナーの起用は、墨田区の施策の一つである“ものづくりコラボレーション事業”プロジェクトを活用したもの。魅力ある商品を作りたいと、妥協を許さぬ想いでアイデアを出し合った。
 そして、試行錯誤の末に誕生したのが、ドローイングパッド、そしてメモブロックである。
 「職人が余った紙を綴じてメモ帳にしていたのですが、それがヒントになりました。紙本来の魅力と、私たちの持つ加工技術を、デザイン面からブラッシュアップして完成しました。」

紙本来の質感と製品技術で仕上げた、上質な文房具

一点一点、熟練の職人の手作りで仕上げられる
 メモブロックは、ダンボール古紙を原料とする厚みのある台紙が特徴。材料の選定から最終工程まで、1冊ずつ丁寧に仕上げられている。側面から見る本文と台紙のコントラストが美しく、存在感がある。
 ドローイングパッドも同様に、ダンボール古紙の台紙を使用しているため、書く際に安定感が良く、綴じ部分にはマイクロミシン加工がされ、定型サイズに切り離せる。中でも、クラフトタイプは漂白せず、未晒のままの紙を使用。強度があり、原料のパルプに近い風合いが特徴だ。
 “紙本来の質感と製本技術で仕上げた上質な文具”として、2010年グッドデザイン賞受賞に輝いた。
 「当社の製品は、完成度を追求して生み出したもの。だからこそ、製品のラインナップを増やすことは考えていません。一つ一つ、長く愛用されるスタンダードを目指しています。」

ニューヨーク、パリ・・・世界の展示会で注目される

国際インテリア関連展示会Maison & Objetにて
 伊藤バインダリーの商品は、海外でも人気が高い。2012年(平成24年)より毎年、パリの国際インテリア展示会Maison & Objet、2014年にはニューヨークのギフトショーNY NOW,シンガポールのデザインイベントHidden-Unveiling Japanese Designに出展するなど、海外への展開にも力を注いでいる。
 「海外の展示会では、ダイレクトな感想を得られます。日本らしいデザイン、との声をいただきました。特に建築関係の方々に人気が高いようです。」
 そのシンプルで完成されたデザインは、ファッションブランドやインテリアブランドとのコラボレーション企画も多く、また、自動車メーカーのイメージ戦略として、重要なディスプレイにも活用されている。個人の方でも、自社ウェブサイトのオンラインショップでも購入することが可能だ。
 2011年(平成23年)には、モダンアートの殿堂として知られるMoMA(ニューヨーク近代美術館)でも取り扱いされた。

墨田区ならではの、ものづくり文化を活かして

世界へ向けて。
商品に記された「ITO BINDERY」の刻印
 墨田区は、昔からものづくりが盛んで、様々な分野の中小企業が集積する。東京スカイツリーのオープンを契機に、その優れたものづくりを区の内外に広めようと取組みが、 “すみだモダン”の認定である。すみだ地域ブランドの価値にふさわしい、すみだの想いを伝えられる商品を毎年、選定している。
 2011年(平成23年)、上質メモブロックは、この認定商品に選定された。
 また、墨田区では、中小企業の事業を継承し次代を担う人材の育成を目指す、私塾形式のビジネススクール、“フロンティアすみだ塾”を運営している。
 「私はフロンティアすみだ塾の4期生です。1年間のカリキュラムの中で、経営戦略や商品開発を学びました。同じような悩みを持つ方々と有意義な意見交換ができ、地元の交流も生まれました。メモブロックの商品化も、ここでの体験があったからこそといえます。」
 そして、墨田区で創業するメリットとして、地元の交流も欠かせない。伊藤バインダリーの商品には、世界への展開を見据えたITO BINDERYの刻印が記されているが、これは、知り合いのプレス加工会社から譲り受けたプレス機によるもの。
 「技術面や修理の相談などにも応じてもらえるなど、ここ墨田区は、ものづくり企業がお互い助け合う文化があります。今後も、互いに切磋琢磨しながら、すみだのものづくりを継承していきたいと思います。」
 夢は、国境を越えて、多くの方に自社製品を使ってもらうこと。こうした伊藤氏の想いが刻印として記された製品が、国内、海外で、様々な人々との出会いを予感させる。
株式会社 伊藤バインダリー
http://www.ito-bindery.co.jp
〒130-0004
東京都墨田区本所2-16-9
電話番号:03-3622-8865
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