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フォーカス2017
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圃場の状態を遠隔からモニタリング 先端技術を活用した“攻め”の農業

作成日: 平成30年3月29日
更新日: 平成30年3月29日
株式会社セラク<br/>
専務取締役<br/>
宮崎博氏

株式会社セラク
専務取締役
宮崎博氏

 総合ITソリューションを展開する株式会社セラクが、農業のIoT化に向けて開発した「みどりクラウド」。圃場にセンサーボックスを設置すると、温度、湿度、土壌水分といった7種類の環境データを計測・記録。離れた場所にいても圃場の環境を確認できる環境モニタリングシステムです。さらに、気温やCO2濃度が設定した数値を超えるとメールやアプリに通知が届くといったサービスによって、深夜の見回りから解放されるなど、農作業の効率化に大きく役立っています。IoT化によって変わる農業の未来像について、専務取締役・宮崎博氏にお話を伺いました。

IT初心者に寄りそうサービスを目指す

 みどりクラウドの大きな特徴として、宮崎氏はまず使いやすさを挙げます。「とにかく農家の方が使いやすいということを優先して開発しました。具体的には、電源にさすだけで、すぐに圃場やハウスの環境を見られることを目指しました。分厚いマニュアルを読まなくても、操作しているうちに自然とマスターできる直感性も大切にしています」。

 機能を環境モニタリングに特化しているため、月額1,000円程度から導入できるのも魅力。「家族経営レベルの小規模農家でも農業ITを体感して、生産の現場で有効だと実感してほしい。今は普及を第一に考えている段階です」。

農業ITのプラットフォーム化を視野に

みどりクラウドのボックスの写真

 モニタリングにより可能となったのがデータの蓄積。農業は個人戦ではなく団体戦であり、情報の共有には大きな意味があると宮崎氏は指摘します。「産地によるグループごとに、協力しながら全体の生産高をあげようというのが農家の人たちの考え方です。管理の仕方や、温度や換気の工夫がどんな結果を生んでいるかは、お互い興味があるところでしょう。みどりクラウドでは承認した生産者同士、環境データや写真を共有することができます」。

 データの蓄積が将来的には農業ITのプラットフォーム整備につながる可能性も期待できるといいます。「ビッグデータができれば、いつどのような作物がどのくらい収穫されるかがわかります。小売業者や飲食店などは仕入れ見込みの予想が立ち、生産者側は最も価値が高まる時期に出荷することも可能になります。今行っているデータの蓄積がやがて農業全体の大きな財産になるでしょう」。

ITは社会問題を解決するためにある

みどりクラウドのキット一式の写真

 「なぜ農業とITを結びつけたんですか?」何度もこう訪ねられたという宮崎氏。この問い自体が農業問題への関心の低さを表しているといいます。「農業が現代人にとってあまりにかけ離れた存在だから、そんな質問がでるのでしょう。ITはあらゆる社会問題を解決するためにあると考えています。農業にITを結びつけることで、自給率、承継問題、耕作地放棄、地域振興、地方の自立--。思いつくだけでも、現代日本の抱える諸問題が大きく変わってきます。農業を見える化することにより、解決のプロセスを共有し、身近に感じてもらうことも必要です」。

略歴=東京理科大学理学部卒業。(株)セラク 専務取締役 ITビジネスイノベーション本部長現任。‘94年のマルチメディア事業立ち上げより一環してITによる社会ニーズ充足をテーマに活動。現在、IoTによる農業の付加価値向上や地方創生に尽力している。
株式会社セラク
www.seraku.co.jp/

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