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IoTを駆使した地域密着による子どもの見まもり

作成日: 平成30年3月29日
更新日: 平成30年3月29日
府中市教育委員会事務局

府中市教育委員会事務局

 東京都府中市では、IoT技術を活用した見守りシステムtepcotta(テプコッタ)の実証実験が行われています(2017年11月~2018年7月予定)。tepcottaは、子どもがビーコン(電波受発信器)を搭載したホイッスル型の専用端末を持つことで、保護者が子どもの位置情報を確認できるほか、予め登録した基地局付近を子どもが通過したとき、専用アプリやメールから情報を受け取れるサービスです。「今回の実証実験におけるプロセスそのものが防犯意識を高めることにつながっています」と語る府中市教育委員会事務局の山田英紀氏、田中裕之氏にお話を伺いました。

市民全体の力でシステムを構築するtepcotta

 防犯意識の高まりから、子どもの安全を見守るサービスは、携帯電話会社のGPS機能などを中心にユーザーを広げています。今回、府中市がtepcottaに注目したのは、完成されたサービスを利用するのではなく、市民全体でシステムを構築していく点に注目したからだと山田氏は話します。「子どもの通過を関知するビーコン電波受信機器は公共施設をはじめ、通学路付近にお住いの市民のご自宅に設置させていただいています。さらに、tepcottaには”見守り人”というオリジナル機能があります。保護者のみなさまや市民のみなさまがご自身のスマートフォンに専用アプリをインストールすることで、端末を持っているお子さんの位置情報を記録できる、いわば”動く基地局”の存在になれるというもの。市民の協力によって緻密な見守り機能に育っていきます。子ども向け携帯電話に代表されるGPS機能が家族間で完結できるものであれば、市はもっと大きな視点で市民のみなさまと共同でシステムを作り上げていくことにチャレンジしてみてはどうか、ということで実証実験をしている段階です」。現在は3つの小学校の児童を対象に、PTAの方々の協力を得ながらデータを集めているそうです。

「地元のことは地元に聞く」という姿勢を大切に

テプコッタの写真

 今回、基地局設置の依頼などで、市民宅をまわるなかで、市民のボランティア意識の高さを強く感じる場面がたくさんあったそうです。「地域のためになにかしたい、子どもたちの防犯のためになにかできることはないか。という気持ちをお持ちの方から、ぜひ協力したいというお声を多くいただきました」と山田氏は振り返ります。

 実証実験はまだ試行錯誤の段階。協力校のPTAの方々と話し合いを重ねるなかで新しく見えてきたこともあります。「ここは人通りが少ない、あの場所は死角が多いから基地局を置いてほしい。といった地域の保護者にしかわからない情報をお伺いすることができました。やはり地元のことは地元に住む方が一番よくご存じです。その声を反映して、現在基地局の変更や、新たな選定を行っています」と田中氏。

IoTは人の代わりにはなり得ないことを前提に

 府中市では、2017年に市内の全小学校の通学路に5台ずつ、合計110台の防犯カメラを設置するなど、積極的に防犯対策に取り組んでいます。ただし、すべての基本にあるのは市民の目であると山田氏はいいます。「PTA、自治会や老人クラブ、青少年対策地区委員会、その他多くのボランティアのみなさまが、登下校時に子どもを見守っています。おはよう、おかえりと声をかけ、交差点や歩道橋の安全をいっしょに確認し、笑顔で接してくださる。市の防犯はこうしたみなさまによって支えられています。防犯カメラやtepcottaは決して人のかわりになることはできません。あくまで人が実施する防犯対策を補完するものです」。

 Tepcottaの実証実験において、地元の人たちと話し合い、地元の安全情報を共有するプロセスから得たものは大きかったと両氏は話します。このシステムが府中市の住民サービスとして有効なものであるか議論を重ねながら、方向性を慎重に見定めていきたいということです。

テプコッタの仕組みの図

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