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フォーカス2017
TOKYOを拠点としてIoTやAIなど先端テクノロジーを駆使するキーパーソン

スマートシティ化への道のりにおいて企業に求められるのは「オープンとクローズのバランス」

作成日: 平成30年3月7日
更新日: 平成30年3月7日
INIAD東洋大学学部長(工学博士)<br/>
東京大学名誉教授<br/>
坂村 健 氏

INIAD東洋大学学部長(工学博士)
東京大学名誉教授
坂村 健 氏

 現在多くの国で積極的に進められるスマートシティ化。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の先端技術を通して、インフラやサービスを効率的に管理する新しい社会が訪れようとしています。時代の変化のなか、中小企業はどのような方向を目指すべきなのか。INIAD (東洋大学情報連携学部) 学部長・坂村健氏にお話を伺いました。

目指すべきは「外部とも協力し合える緩やかな経済圏」の確立

—世界レベルでスマートシティ化が進むなか、日本はその道のりにおいて、どのような位置にいるとお考えでしょうか。

 現在、IoT技術をさらに高度化し、都市のスマートシティ化を進めていくことは、世界でも重要なテーマです。エネルギー、環境、交通、そこに住む人の健康や防犯、食料、あらゆる面で都市機能を高めていくことが期待されているからです。

 もちろん日本は、世界トップレベルの大企業が数多くあり、高い技術力を有する国です。遅れているということは決してありません。ただ、残念ながらトップではないという印象を受けています。

—その原因はどのようなところにあるのでしょうか。

 スマートシティ化というのは、情報をオープンにすることで成し遂げられる面がとても大きいのですが、日本はこれが非常に苦手です。

 ごくごく身近な例で説明すると、A社の空調システムとB社の扇風機を連動させて、エネルギーの効率化、快適性の向上を図ろうとする。そのためには、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)の公開、つまりソフトウェアの連携が求められるのですが、日本は自社の情報をかたくなに抱え込んで表に出さないところが多いですね。そういう意味で、エコシステムの形成ができない。ライバル社ともあるときはつながることが結局は自社を含めユーザー、すべての人の利益になる。その感覚がつかめないでいるところが問題だと思います。目指すべきは、外部とも協力し合える緩やかな経済圏の確立です。

イノベーションにおいては大企業も中小企業もチャンスは等しい

—中小企業は今後どのようなことを意識してビジネスを展開していくべきでしょうか。

 先ほどお話ししたオープン化。その表裏一体として、独自の技術はしっかり守るというクローズドの部分。その両面を見極める目が求められると思います。

 人とつながるところは大胆にオープンにする。一方、自社の財産となるノウハウや技術に関しては高度に管理をするということでしょう。そのためにもやはり、最低限の知識として最先端のICT界の概要とプログラミングにはある程度精通しておいたほうがいい。日本でもようやく小学校にプログラミングの授業が取り入れられますが、世界から見れば遅すぎると言わざるを得ません。

—中小企業がこれからの時代にチャンスをつかむためにはどのようなことが必要でしょうか。

 ビジネス成功の絶対の方程式はありませんが、とくにイノベーションにおいては、大企業も零細企業も平等にチャンスはあります。人数が多ければよいアイディアが活かせるとも限らない。また資金は銀行から借りるだけでなく、クラウドファンディングで協力を求めるといった選択肢も出てきました。

 国のバックアップ体制も不可欠です。目まぐるしく変貌を遂げる時代のなかで、単にテクノロジーがあれば勝てるという図式は通用しないことを国も企業も広く認識すべきでしょう。

略歴==コンピュータアーキテクト(電脳建築家)。東京大学名誉教授、東洋大学教授・INIAD (情報連携学部)学部長。1984年、IoTの原型となる、オープンなコンピュータアーキテクチャTRONプロジェクトを始動、世界から注目を集める。2017年4月に開設されたINIADは、赤羽に新キャンパスを構える。氏の研究成果が体現された未来型キャンパスとして大きな話題となっている。
INIAD東洋大学情報連携学部
https://www.iniad.org/

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