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フォーカス2016 TOKYO発の”テクノロジー”と”人”を育てるキーパーソン

中野区発、安全・安心、教育などをキーワードにした地域実証実験のプロジェクト

作成日: 平成29年4月20日
更新日: 平成29年4月20日
一般社団法人中野区産業振興推進機構 <br/>
理事長 (東京大学名誉教授)<br/>
板生 清 氏

一般社団法人中野区産業振興推進機構
理事長 (東京大学名誉教授)
板生 清 氏

 新宿駅からJR中央線で4分の中野駅を中心に発展する中野区。中野区産業振興推進機構(略称:ICTCO)は、駅北西部の都市型オフィスエリアを目指して再開発されたセントラルパーク内にあります。中野区はICT/コンテンツ/ライフサポートの産業振興を目指しており、ICTCOは、中野区と連携し民間の力を活用したインキュベーション施設の運営管理や、ICT・コンテンツ関連産業の集積促進のプロジェクト、起業促進事業のハブとなる役割を担う他、防災関連など様々な事業等を推進しています。情報通信分野の黎明期から異業種連携に取り組まれてきた板生清理事長(東京大学名誉教授)に、職住接近の街・中野からみた東京の可能性と地域の取り組みについてお話をうかがいました。

入居者(会員)の創業支援や、中野区と連携した地域課題解決をサポート

-ICTCO(イクトコ)の入居によるメリットは、どのようなものがありますか。

 ICTCOは区内だけでなく、区外の方も対象とした創業支援施設です。活気があり、施設内の机は常にキャンセル待ちになるほど人気があります。ここにつどうことで他社との交流にもつながっているようです。また、企業同士の交流のため、月に一度会員ミーティングを行っています。場合によっては会員外の専門家を呼び、話をしてもらっており、会員自身が今、どのような事業をしているのか、説明してもらう。そしてそれについて意見を出し合う。これが会員になるひとつメリットになっています。

-インキュベーション施設の運営の他に、取り組まれているプロジェクトにはどういう例がありますか。

 『環境防災プロジェクト』として、平常時と災害時の両方に対応できる街づくりを実施しています。具体的には基礎データとして中野サンモール商店街や、駅前の人がどのように動くのか調べています。人流計測と呼ばれるものです。商店街のどこで人が滞留し、どこのお店が儲かっているのか。それと同時に、もし災害が起こって人が集中した際に、人流計測データを元に避難誘導できるようにする。こうした中野駅前のにぎわいという経済性と災害時に対応できる安心安全のシステムの構築、このふたつの両立を目指すプロジェクトです。

万が一に備え、ITを活用し帰宅困難者を安全に誘導する仕組み

-ICTCO「環境防災プロジェクト」を通した震災への準備、ITとの融合の手法はどのようなものでしょうか。

 日本は地震国ですから、大地震が来る可能性を否定できません。中野駅は中央線沿線にあるため、多くの帰宅困難者が大都市の新宿から流れてくるでしょう。これらの帰宅困難者を次の場所に誘導するため、道路情報などをICTCOの建物の隣にある公園の巨大デジタルサイネージ(電子看板)やスマートフォンに流すことで、安全な場所やルートに誘導することができます。またICTCOの建物自体の電源が失われた場合に、一定時間耐えうる自立分散型電源や、再生可能エネルギーの活用を行います。

-ICTCOへのスキルや技術、リソースの集積、外部とのネットワークをいかに成長させてゆきたいとお考えですか。

 2013年のICTCO立ち上げの時から、中野に本店がある西武信用金庫理事長には、色々と力になってもらいました。構造計画研究所という一流のエンジニア集団、矢野経済研究所というシンクタンクも事業共同体のメンバーに入っています。ICTCOの特徴は社会実証の場です。産・学・官・金の知恵を活用し、住民や商店街の人々に使って確かめてもらい、その結果を研究にフィードバックできるこれが一番の特徴です。他の地域にはない強みと自負しています。

実用化するのは、世の中に役立つ技術

-最後に板生理事長の信念、ICTCOに対する想いを教えてください。

 ものを作ることが私の人生であり、世の中に送り出す。かっこよく言えばそうです。キャリアをスタートさせたNTT時代に社長・総裁表彰を3回受賞しました。新しいものを世の中に出して使ってもらうことが社長表彰の条件でした。取り組んだプロジェクトは全て表彰されました。実用化したものは必ず、世の中に出す。逆に言うと、世の中に出るものしか実用化しない。これが私のプロ意識です。「実用化するものをやる」これをICTCOでも実践したいです。

略歴=情報通信の黎明期において、現在のNTTで24年間、機器開発・サービス開発に従事したのち、大学に転じて、民間企業と大学によって研究開発型NPOを立ち上げた。社会に役立つウェアラブル情報ネットサービスを目指し、人間や構造物のヘルスケア分野・環境分野などの新サービスを、機器の開発とともに提案し続けている。
一般社団法人中野区産業振興推進機構(略称:ICTCO/読みはイクトコ)
http://ictco.jp/

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